2019-09-03

紀平梨花 - 実力は十分、疑問は連盟とコーチの力量に ①


シーズン開幕にあたり注目選手についてみてゆきたい。最初は昨シーズン大躍進した紀平選手。

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NHK杯で五輪金を口にした紀平選手 - 実力は十分だと思うが戦略面、特にコーチ力と連盟力に疑問がある。

日本の連盟の力は極端に弱いと思われる。日本企業による国際スケート連盟への財政面での貢献はおそらく最大であろう。しかし競技ルールや指針変更等その他の重要な運営や開発方針に関する発言力も影響力もましてやリーダーシップなどほとんど皆無ではないだろうか。昨年スペインでのISU総会で採決された日本の提案件は大勢に影響のない単純なルール変更だった。もっと重要な案件の議論に参画できていたのがどうか甚だ疑問である。日本の代表が世界の舞台に上がるとお金は出せても口も手も出せない、というのはスポーツ界に限ったことではないが-ひときわ旧態依然としたフィギュアスケート界では日本の連盟代表は飾りの殿様となっているのではないかと容易に想像される。

さいたまワールドでの男子のアメリカ勝利について陰謀という言葉を見かけたが米国には通じそうにない。他国ジャッジへのロビー活動、国際試合へ送り出すジャッジを誰にするか、メディアの加勢等、彼らからし
てみれば全て正当な戦略なのであろう。4CCの男子ジャッジに米連盟の前会長(平昌五輪まで会長)が入っておりネイサンが居ないのに何だろう?と思っていたらジョウ選手のためであった。一か月後のワールドでは遂に宇野選手を抑えて銅メダルまで伸びた。

かつて2017年の4CCやGPロシア杯そして平昌五輪にも入って着々とネイサンへの仕事をした米国のジャッジ、ローリー・パーカーは昨シーズン国際試合に登場せず-これもどうしたのかと思いきや何と1月の全米選手権でジャッジ席に座りGOEとPCSに満点の嵐を起こしていた。

シーズンが終わってみればネイサンのPCSは47と94とハビ・ユズのレベルに上がったのだ。

ローリー・パーカーはバンクーバー五輪で優勝したライサチェックも推していて当時「高難度技術(4回転)よりも演技の安定感の方が大事よね」などと社交の場等でロビー活動に徹したと言われている。

こういった戦略は全くの合法であり堂々と実行する-がドーピングは違法ゆえ違反国を徹底的に追及する...米国はあっけらかんとしている。良くも悪くもあからさまな米国の行き方ではあるが北京までの4年を見据えてガッチリ計画し戦略の結果は確実に出ている。

世界選手権の日本女子は皆とても良かったが...FSで3Fを3本飛んで?!(笑)という方が正確な描写だと思うが...完璧にインサイドエッジだった1本目のジャンプ3Lzに2.11の加点がついたメドべデワ選手に3人とも負けてしまった。完全に「エテリ組対オーサー組」の争いの蚊帳の外に押し出されてしまった感。

UR、エッジエラー、PCSを細かく観察した上で独自に採点をした所、総合順位は

1ザギトワ 2紀平 3ツルシンバエバ 4坂本 5宮原 6テネル 7メドべデワ

となった。ツルシンと坂本の差は0.1点以下で宮原、テネル、メドべも僅少差である。

誰がメダルをとっても苦情を言ってくる心配がない日本の連盟、コーチ陣と観客。商業面が強く出ていて日本の選手たちにとってはお祭り騒ぎに気が散ることばかりで大変な負担だったのではないだろうか。観戦側からすれば事前プレカンなど意義が薄くまた化粧品のアンバサダー就任発表などは興味のない所である。

米連盟は一大構想(カリフォルニアの新施設で選手育成とコーチ育成をするシステム)を始動開始しコーチ達をリクルートしている様子。平昌男子で失敗した経験も踏まえつつ北京へ向けて全力で当たってくるであろう。今は権威利用の犯罪&モラル問題で揺れているがソーシャルメディアによるユーザーパワーと相まって世論起動力にかけては随一であろう。

元々堅固なシステムを持つロシアはその閉鎖性によって技術習得や振付けのバリエーションに限界が見られるが才能ある選手と有能なコーチ陣には事欠かず北京にはトップ・オブ・ザ・トップの選手が出てくると予想される。

北米やロシアのいき方・あり方が日本に向いているとは限らないが、いずれにせよ日本の連盟が何らかの明確な指針を持ち実行力を発揮できるような体制に発展する日が来るよう願うばかりである。


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