2021-10-30

Chopin2020 - 1 国家の大イベント

1年延期となったショパンコンクールは10月2日のオープニングコンサートで始まり23日の入賞者ガラコンサートで終了。YTのライブストリームは4K(2160p)!!で思う存分見れて聞けて楽しんだ。

ネットのコンテンツも十二分に充実していてクオリティも高い。内容の濃い高水準のエンターテイメントを満喫した。

コンテスタントの演奏は素晴らしかった。前回2015年よりも数段レベルが高い印象だった。そして何よりも- 観客や運営の様子などからショパンを敬愛し誇りに思う人々の情熱が伝わってきた。

国をあげての大イベント

表彰式のあるガラコンサート1日めには大統領、大臣らが出席する。国家元首らが4時間以上も一つの文化行事に留まる、というのはあまり聞いたことがない。各国大使も招かれて社交の場でもあるのだろう。

前回までは3日あるガラは全て審査会場のフィルハーモニーホールだった記憶だが今回は1日めは国立オペラ劇場となり豪華さがグレードアップした感だった。場内の進行はポーランド語のみで配信動画では英語の同時通訳が入りグローバルな大イベントであることを感じさせた。

ワルシャワのオペラ劇場は随分前に友人数人でトラビアータ(椿姫)を観に行ったことがある。2階のバルコニー席だった。客席空間が大きく感じられた事を思い出した。

1位から6位の入賞者の賞金もすべて政府の要人の名で出資されている。金額はユーロ。

1位    ポーランド大統領    4万
2位    ポーランド国会議長    3万
3位    大臣議長    2万
4位    文化・国家遺産・スポーツ省大臣    1万5千
5位    外務省大臣    1万
6位    ワルシャワ市長    7千

6位までの入賞と特別賞に加えて規定外の賞もあり今回から日本の浜松市長賞も新たに始まった。

アーカイブビデオは4時間10分あるが30分のインターミッションが2回あり正味3時間ほど。

ビデオ:2021年10月21日 表彰式&ガラコンサート初日

クーリエとトーク

パブリシティにも十二分に力を入れている。

コンクール期間中はショパン研究所による「ショパン・クーリエ(Kurier Chopinowski / Chopin Courier)」という日刊新聞が発行されている。ショパンにまつわるエピソードなど記事や写真で情報満載。表紙から始まって全頁ポーランド語と英語のバイリンガル誌。

全部は読み切れないが前日の演奏の講評に目を通すのがコンクール中の日課となっている。表現や音質のニュアンスの違いやピアニストの特徴を細かく聞き分けて良かった点もそうでなかった点も指摘している。表面的なバーチュオーソ感や演奏効果はすぐ見透かされる。何百人、何千人の演奏を聞いてきたショパンとピアノ音楽の専門家たちの知識と経験の深さが伺われる。審査員ではない人々によるレビューではあるが各ステージで好評を受けたピアニストは大体通過しており審査結果とほぼ一致していた。

ポーランドのテレビやラジオ等のメディアからも様々な批評が頻繁に出ており、いくつか読んだ所ファンベースの人気や人物像なども反映している印象。音楽と当日のパフォーマンスのみに焦点を当てた「クーリエ」のレビューは他と一線を画していた。

全18部はプレス情報ページからダウンロードできる。

ショパン・クーリエ ダウンロードページ

1次から3次までは1日がかりの審査となる。午前・午後の部それぞれの30分休憩中に「ショパン・トーク」があり、これもまた良かった。演奏が終わったピアニストたちや運営に関わっている様々な人々が登場しインタビューを受けるコーナーで興味ある内容が盛りだくさんだった。1回?録画だった以外は全てライブ。演奏者の舞台裏の様子と同じく会場にいては見ることのできない内容である。

「クーリエ」の編集・発行に関わっているスタッフも一度出演した。毎晩午前2時から3時に完成する、など苦労話が聞かれた。写真やイラストも凝っていて毎日あれだけの記事を起こしその上翻訳作業も入っている訳で大仕事であろう。しかもPDFをオンライン発行するだけではなく印刷もしてコンクール会場とワルシャワ市内の数か所で配布したらしい。

ライブ配信中のチャットやメールへの対応など一般聴衆の窓口として世界中からの声に24時間応答もやっていた様子である。

5年に一度の国家の大イベントで3週間休みなし?でもショパンの音楽を愛する心で喜々としてハードワークをこなしている、といった印象だった。

ビデオ:2021年10月10日 2次審査午前の部ショパン・トーク クーリエスタッフ インタビュー(2:09:30 頭出し)

4社5台のピアノ

出場者は5台からピアノを選べる。

スタインウェイ300
スタインウェイ479
ヤマハCFX
カワイ
ファツィオリ

話題のファツオリはブリリアントな音がよく響く印象だった。

各社から現地に派遣された調律師たちが日々メンテナンスをしていたらしい。「ショパン・トーク」にも一度登場した。調律作業を行うのは主に演奏終了後の深夜から早朝、ピアニストの要求にできるだけ応えられるように調整する、など興味深い話を聞けた。

配信でも毎回エンドクレジットで名前が出てきて彼らがいかに尊重されているかが伺われる。

テクノロジー

嬉しいユーチューブ配信。高画質&高音質で大満足、大感謝である。

ステージに立っているマイク以外にも吊りマイクがいくつもあった様子。YTで私たちが聞いている音源は全てのマイクから来ているのだろうか、そういえば優勝者のライブ演奏はCDとなるハズ、などと思いながら配信を楽しんだ。パンデミックゆえ現地に行く予定を断念したが家でゆっくり高品質の動画を見れてかえって良かった。

優勝したブルース・リゥ氏のCD発売予定がアマゾンにもう出ていた。1次審査で弾いたエチュードは既に購入できる。同じ音源はYTにも上がっている。

こちらは1次審査で弾く角野隼斗氏(2021年10月4日)のショット。写っているだけでも10個以上のマイクが見える。

 

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ご訪問ありがとうございます。

季節柄、皆さまご健康に留意されますように。





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