女子選手6人
今やロシア女子の国内戦は他のどの国よりもレベルが高い。GPSより高い。
9月でまだまとまっていない部分があっても- スコアは公開されない(採点しない?)テストスケートでさえシーズン開幕してから見た他の選手のどの演技よりも技術はもとよりプログラム内容が濃い。昨年は練習着が多かったが今年は全員衣装・メークを整えている。他国の2歩も3歩も先を進んでいる感。
新プロも良い感じだがSPはピカソを期待していた。世界ジュニア優勝時のプログラムでもあり、どちらにしても振付けはそれ程変わりばえしない(笑)のだから個性的な「玉乗りの曲芸師」が良いと思っていた。五輪イヤーのパッケージングとしては昨季や今季のプログラムの方が無難かと見終ってから思った。
ボレロもこれから益々楽しみにしている。ワリエワ選手にしか表現しえない演技と思う。以前紹介したモーリス・ベジャールの振付けからモチーフをとっていると思われ本家モダンバレーの名演に並ぶ演技となると期待している。
リッポン3Aは安定。コンボジャンプ中のエッジチェンジは相変わらず。極端な体形変化や怪我がなければ今季の勝利はワリエワ選手のものとなりそうである- トルソワ選手のFSを観るまではそう思っていた。
6練前や待機中などコーチらと談笑する姿が見られ自信がうかがわれた。SPの3Aを失敗してもクワドを跳びたい楽しい気持ちがあるようで根底のメンタルは全く揺るいでいない様子だった。FS最終滑走となったのも上り調子ゆえかと思った。白の靴は初めて見た記憶。
これはクワド4本を確実にきめると予想したが、さにあらず。
まず最初の4Fの鋭さに目を見張った。ジャンプ4本めの4Tを見て後半は4T+3Tと3Lz2本かと思ったが、さにあらず。
後半最初のジャンプが4Lzで驚いでしまった。しかも次の瞬間コンボ+3Tで驚きの2乗。そうすると4Tも跳んでクワド5本!?それも3連コンボで!!と思ったが、さにあらず。
次のジャンプは4Lzだったので驚きは10倍の2乗以上、2乗の10倍、どちらでも良いがとにかく驚いた。最後は当たって当たり前の予想(笑)これ以外にはありえない3Lzからの3連だった。
ジャンプは2A+3T以外は全てリッポン跳びだった。
演技後リンクから上がってくるトルソワ選手の身体が光って見えた。上半身、腕、足と見事に鍛え上げられている。お父様がボクサーだった?と思い出した。フリップのエッジやいくつか着氷の疑問はあるが興奮と感動の嵐の中では話題になりそうもない。
後半に4Lz2本はこれまで誰も挑戦したことはない。ネイサン・チェン選手ですら後半に跳ぶのは4Tか4S。確か平昌五輪シーズンの2試合で単独4Lzを後半に入れた構成をやったのみで4Lzのコンボを跳んだことはない。4Lz+3T、4Lz両方を試合後半できめられる男子選手は当分の間出ないだろう。挑戦する選手すらいないだろう。
ステップ、スケーティング、トランジションなどは以前から言われている通りまだ改善できそうだ。シーズン後半になるにつれてミスが多くなる印象があり、これから失速せずに試合をこなしてゆけるかどうか注目である。初めてクワド4本を決めたのはやはり非公式試合の2019年JOだったがそれ以降ノーミス試合はなかった。
ウサチェワ選手はこれまできっちりと安定の良い演技をしてきたが国際戦でのジャッジは世界ジュニア女王のワリエワとトル・シェル・コストル程のPCSは出さないと思われよほどの事がない限り4人を超えることは難しそう。今回は高難度ジャンプを前にどうにもならない焦りの気持ちが出てしまったように見えた。
フロミフ選手はクワド2本を入れられればPCSの差を縮められ五輪切符3枚めの競争に参加できるか。
シェルバコワ、コストルナヤ選手はクワド、3Aと演技完成度で勝負か。ロシア女王3連覇の看板がある分シェルバコワ選手の方を露連盟は優先するか。それともGPF&EU女王のコストルナヤ選手か。
それにしても有難いのはロシアの試合放映。国内戦しかもテストスケートでもチャンネル1がYTで流してくれて大助かり。昨年から評判上々のバートン氏の英語解説まで付いている。
ロンバルディア杯
女子戦のジャッジに米連盟の前会長オクシア氏が入っていてリゥ選手に力を入れに来たと思った。顔ぶれを見て優勝は固く出来るだけ点数を上げることに専念すると予想された。
テックパネルは全員欧州人で2本はURとしたがそれでも甘めか。画質上ジャンプの離氷・着氷がよく見えなかったが得点は総合で15点ほど高めとの印象だった。16才になったばかりのチャーミングなリゥ選手の演技は観客を惹きつける力がある。
次回ネーベルホルン杯でも米ジャッジが入れば- 何とかクワドを跳ばせて実際より一段上の判定をするロビーイングに徹すると予想される。3A、4LzがDGであればUR、URであればq、qであればフル認定が目指す所。SSとTRを1位か2位に付けてPCSも総合1位を狙ってゆくはずである。他の3項目は全米2連覇とロンバルディア杯タイトルの看板で1位を唱えてゆくだけだ。
先月の国際試合クランベリー杯から1試合もムダにせず着々と積み上げてゆく- 米連盟の五輪イヤーの行動はあまりにもあからさま。手はずは明確で徹底している。フェアでなくとも違法でなければ何でもやるのが米連盟の印象。
2020年世界ジュニア選手権ではフロミフ選手が3位になると思ったがさにあらず。とても4Lzとは思えないジャンプを跳んでリゥ選手が3位だった。
1位 ワリエワ 227.30
2位 ウサチェワ 207.74
3位 リゥ 204.83
4位 フロミフ 198.24
露テストスケートを見た後では- たとえ自由行為であるとはいってもロビーイングをする方もされる方もリゥ選手を意図的に上げる事に虚しさを感じないだろうか。
トルソワ選手ボストン上陸
USインターナショナルクラシックが16日(木)から始まる。
スケジュールはノービスから全部の予定が入っていて見づらい。リザルトページのリンクは右コラムにも追加した。
女子は9人エントリーしている。現地時間の予定は-
女子ショート 17日(金)6pm
女子フリー 18日(土)7:57pm
Chopin2020
この秋は忙しい。
先週末USオープンが終わったばかり。ティーンエイジャーどうしの決勝となった女子戦が面白かった。優勝した英国のラドゥカヌ選手は予選から出場している。ご両親はルーマニア人と中国人。2位のカナダのフェルナンデス選手のご両親はエクアドルとフィリピン系。大坂選手のご両親はハイチと日本出身だったか。女子選手は多国籍人が続いている。ジョーコビッチ選手はGスラム達成をできず残念だった。
そして五輪イヤーの始まりと共に昨年から延期になったショパンコンクールが始まっている。5年に一度の開催で五輪よりもレア!すでに7月に予備予選があり128人の内87人が10月の本選に進んだ。全員の演奏は聞いていないが今回はかなりの実力者が揃っている印象。
日本からは反田恭平氏のバラード2番、角野隼人氏のノクターンが良かった。
ビデオ:7月19日予備予選バラードOp38 by Kyohei Sorita (3:46:20)
ビデオ:7月20日予備予選ノクターンOp48No1 by Hayato Sumino (1:53:32)
87人の内65人はトップ5ヵ国出身。アジアからの参加が多い。
中国 22
ポーランド 16
日本 14
韓国 7
イタリア 6
ショパンコンクールはメディア対応が細かい所までよく行き届いている。ロシアのフィギュア放送と同じで配信はYTでライブもアーカイブも全て見れる。ライブ配信は安定していて画質も良好。
ホームページ:Chopin2020
ホームページにもアーカイブがよく整理されている。ニュースや情報、エピソードなども豊富。写真も綺麗。サイトのデザインも素敵。前回(2015年)に続きポーランド人の微細にこだわる職人気質を思い出させるような東欧の香りを感じさせるようなサイト内容である。
1次審査は10月3日から始まり3次審査は16日まで続く。予備予選を免除された牛田智大氏は1次審査から登場。ファイナリスト10人によるオーケストラとのコンチェルト公演は18日から20日まで3日間。
優勝者が決まるのはGPSアメリカが始まる直前、おそらく前日となる。このまま年末までなだれ込む日々となりそうだ。
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ご訪問ありがとうございます。
皆さま季節柄ご健康に留意されますように。
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