2020-02-19

欧州選手権と四大陸選手権



欧州選手権

いまだルール化されていないジャンプの技術問題2点- プレローテーションとブレードアシスト。

ブレードアシストはテクニカルパネルが判定し基礎点で反映するのがベストか。LzとFのエラーエッジ(eや!)は基礎点とGOE両方で減点されることになっている。同じようにGOEにも反映させるようにすればルールとしては一貫性はある。

優勝したアリエフ選手のブレードアシストは平昌五輪から指摘されている。シェルバコワ選手もブレードアシストが顕著である。ロシアのトップ選手が多くやっているせいか、おそらくルール化はないというのが大方の見方である。ルール化されなければこのアグリーな跳び方は後々まで踏襲されてしまうだろう。

エイモズ選手は残念だった。技術は粗削りでもエモーショナルな演技で順位を上げる、というのは感覚としては古い。一時代前の競技を思わせる。一つひとつのエレメンツの質を上げることに競技の焦点が収束している現況下では、エッジワークは単純でも個性的な振付けをドラマチックに演じK&Cでも大発奮するあり方がむしろ新鮮に映るのか大衆受けしている。PCSのパフォーマンスや音楽の解釈で成果を評価するのは順当であろう。しかし試合前に優勝候補と聞いて時代逆行かと思った。

パパダキス・ジゼロンの採点に時間がかかったことで- 採点結果はTCとジャッジ9人が入力した数字が単に集計されて決まる訳ではないことがほぼ明らかになり世界中に知られてしまった。順位を決めてから逆算していると想像される。そもそもISUチャンピオンシップではFS/FDの最終グループの6人/組にそれぞれ割り当てられている時間が20秒長い、ということからして不条理といえるのかもしれない。今回は7分以上もかけて何をしていたのだろうか。

紀平選手の靴と昼寝

交互に出てくるこの二つの問題はいつまで続くのだろうか。

昨シーズンGP仏杯で時差調整の失敗談が出て2週間後のバンクーバーGPFには宮原、坂本選手と共に1週間ほど前に現地入りした。結果は見事優勝。

トリノGPFでは現地入りしたのは公式練習開始間近。1週間前到着でなくとも時差調整ができるようになったのか、と思っていたらまた「お昼寝」の話が本人の口から出てきた。SPは3Aの着氷が乱れコンビネーションで珍しく転倒して6位。

そして今回4CCではまたもや「靴」の問題を語る紀平選手。

今も昔も時差問題と靴問題は全ての選手に同じように降りかかりそれぞれ工夫して対応してきているはずである。宇野選手が眠そうな状態で演技したのは記憶に新しい。ヘルシンキワールドで靴問題で苦労したネイサンには靴のメーカだったかスポーツ器具関係だったかスポンサーがついて一気に10足調達されていた。仮に周到な準備をしてもロシア選手権や欧州選手権でもあったように試合直前に靴が壊れることもある。身体の調子、靴、衣装など全て念入りに準備したつもりでも本番になれば何が起こるか分からない。氷や会場の様子も試合毎の変数である。選手やコーチ陣にとり基本的な体調管理や調整手順の悩みや問題は常に付きまとうと想像される。

しかし日本のスポーツ新聞系の記者の判を押した様な調子を尋ねる質問に対し毎回靴だの昼寝だのとしゃべるのはトップ選手・コーチではあまりいない。紀平選手ぐらいである。

公に話すと自分自身の意識もそこに行ってしまう。「靴がー、昼寝が-」と言葉に出して言う事で「それが原因で演技ができない」という潜在意識を自身の心の奥底に刻んでしまう。無邪気といえばそうであり語る紀平選手の姿は可愛らしくさえある。

北米の選手たちはメディア教育を受けていているのか怪我の場合も含めて試合前に本人の口からあれだこれだと問題点を話すことはあまりない。ロシアの選手からも靴だ昼寝だ等の話は聞いたことがない。

政治的な内容についても同じである。五輪シーズンにロシアのドーピング問題が起きた折さすが五輪メダリストを2人出した山田門下と思ったのは宇野選手。GPSだったか試合直前にマスコミの質問に対して「ノーコメントです」ときちんと教育されていた。そして山田組は五輪銀メダル3人輩出チームとなった。同じ質問をされて動揺を吐露した女子選手は演技も乱れてしまった。たしかカナダでは連盟から一切口にしない様にお達しがあったとどこかで読んだ記憶がある。日本は連盟が一律に取り締まらず選手・コーチの采配で個人ごとに対応し対策を立てるという行き方か。

トリノGPFの後これからも昼寝問題を引きずっていくのかと懸念していたが全日本で払拭したようである。FSの直前「寝られなかった」と再度言っていてどうなるかと思ったがほぼクリーンに演技ができた。紀平選手の身体能力をもってすれば昼寝不足でも良い演技ができるということを身をもって体験し頭でも理解できて良い経験になったと期待したい。

靴問題もまたしかりである。靴底とブレードの間にスコッチテープを挟む、という微調整へのこだわりを見て本田武史氏が「時には靴に身体を合わせることも大事」とコメントしている。0.1ミリ単位の違いを感知できることはアスリートとして鋭敏さを示してはいるがたとえ万全の靴ではなくとも「それでも絶対に勝つ」という魂を持てることも重要であろう。そういうアスリートに成長できるようにと願っている。

実力だけ見れば現時点で紀平選手は世界のトップグループにある。ルッツとフリップの跳び分けがキレイにできるのはトップ女子選手ではほとんどいない。トゥクタミシェワ選手のルッツは素晴らしいがフリップは得意としておらず試合で1本も跳ばないこともよくある。ザギトワ、トルソワ選手は大体跳び分けはできるがエッジがやや甘くフラットになることもしばしば。コストルナヤ選手はフリップは得意でもルッツは大抵フラットエッジである。ユ・ヨン選手はルッツは得意でフリップにアテンション(!)が付きやすい。他の選手も大体同じ様相。

LzとFの跳び分けが明確にできて、URがほとんどなく、3A3本、3Lz3本とクワド1本か2本?!入れられて、スケーティングは上質、エッジさばきが絶妙、とこれだけ揃っている選手も稀である。その上まだ伸びしろがあるのだ- スピンは改善の余地がある。今季FS(フライングシット)からFC(フライングキャメル)へとグレープアップしたスピンはもっと上達できる。フリープログラムではLをFCCoへと難易度をあげれば他のトップ選手と足並みを揃えられ技術内容は完璧に近くなる。今の所はジャッジも忖度なく正当に評価しているように見える。

しかし技術力以外の側面- 靴や時差などのへの調整力やいつまでも少女趣味から脱皮できないパッケージングにおいては今季シニアデビューした女子選手たちにすでに負けている。

五輪本会場かどうかは分からないが今年末のGPFは北京である。そして五輪シーズンも4CCに出場した場合- 今週末のチャレンジカップから数えて17試合めが北京五輪の団体戦、18試合めが個人戦となる。随分先の事に見えるかもしれないがソウルでの4CCは紀平選手がシニアになってから14試合目であり未だ靴や時差調整の問題と格闘しているのである。北京で試合当日「目をつぶっても寝れなかった」らどうするのだろう。

靴や時差調整などは比較的計画準備し易く自分でコントロールし易いゆえ早い時期に試合に臨む際の自身のリズムを掴み確立できるようにと思う。

Ballade Op23 No1 バージョン4

待っていたバージョン4。最高の演技だった。構成はV2と同じでV3のステップをやっている。

バージョン1 14-15&15-16シーズンで8試合
3A CS FC 4T 3Lz+3T StSq CCo
4T CS FC 3A 3Lz+3T StSq CCo

バージョン2 15-16シーズン4試合
4S 4T+3T FC 3A CS StSq CCo

バージョン3 五輪シーズン3試合
4S FC CS 3A 4T+3T StSq CCo

バージョン4 今季2試合
4S 4T+3T FC 3A CS StSq CCo

イーグル、ツイズル、カウンターなど色々な入り方・出方ができる羽生選手の3A。ロングサイド60mを目一杯使ってイナーバウワーからカウンター3Aに入る一連の動きは神々しい。

他に追従を許さないショパンの繊細さと大胆さ、透明感と豊潤感をフィギュアスケートというスポーツでこれ以上見事に体現出来るスケーターも振付けもこれから永遠に出ないだろう。イタリア解説のマッシ氏の言だったか- まさに「永久欠番にして欲しい」と言えるプログラムである。ホープ&レガシーやオリジンそしてセイメイですらすでにジュニアも含めて他の選手が何人も演じている。中には音楽だけでなく振付けも全く同じ選手もいる。しかしバラードには誰もタッチしない。できないだろう。

114点近くになるかと思ったが結果は111.82。ジャッジの偏向性はジャッジ個人のバイアスと出身国のバイアス両方から出てくると思われる。そして場合によっては国際スケート連盟のバイアスというか圧力が加わってくるのであろう。欧州選手権フリーダンスの採点も13人のオフィシャルズ内の議論にとどまらずISUの指示が入ったのだろうか。

111.82点という結果からして羽入選手には得点を出さない意向であることは明らかである。しかしそれがどういった利益に繫がるのかは不明である。ISUの金銭的な利潤につながるのだろうか。フィギュアスポーツの評判が上がるのだろうか。フィギュアをやりたいと思う子供が増えるのだろうか。答えはすべてNoであろう。

米国のネイサン・チェン選手がSPをクリーンに演技した場合に世界記録を更新させたい意向が予測され、そのために今回抑え置いたとみられる。ここまでくるとルールはあってないようなものである。

6月の総会で検討されるという新しい競技形態では現行システムの原型は残るような印象ではある。前回の変更時にはそれまでの(2017-18シーズンまで)記録は歴史記録となった。羽生選手は男子のSP、FS、総合点(112.72、223.20、330.43)の世界最高記録保持者である。

新しい競技形態が22-23シーズンから施行されることになればそれまでの4シーズン(18-19から21-22)の記録も書庫ゆきとなるのであろう。既にトリノGPFでチェン選手にFSと総合点(224.92、335.30)で世界最高記録を与えており17-18シーズンまでとは基礎点と採点方法が異なるが両方とも羽生選手の記録を上回っている。残るSPもチェン選手に更新させ112.72を超えさせたい意向かと想像している。現行IJSのアーカイビング~どのようなストーリーで有終の美を飾るのか懸命になっているのであろう。

モントリオール・ワールドへ

ECと4CCが終了し予測通り紀平選手がワールドスタンディング1位となった。樋口選手が健闘し8位に上がり宮原選手とも3人は世界選手権SPの最終グループ滑走、トルソワ選手は第4グループになるとみられる。

最終(第5)グループ
紀平、宮原、テネル、コストルナヤ、樋口、シェルバコワ

第4グループ
トルソワ、ベル 、ユ、キム、パガニーニ、リャボワ

男子は- 羽生、宇野、チェンに続く表彰台候補はアリエフ、ブラウン、ジン、ジョウあたりか。ジャッジはオーストラリア、オーストリア、チェコ、フィンランド、グルジア、ドイツ、イギリス、韓国、ロシア、スウェーデン、スイス、ウクライナ、アメリカの13国。また争議が起こりそうな予感である。



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