2020-03-24

弥生の時 2

Game of Thrones

シニアデビュー初戦FSで163.78を出したトルソワ選手のプログラムはTVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」。

面白いプロットで8年も続いたこのドラマを見たのは10回にもならない。一度見逃すと脱落!してしまいなかなか続かなかった。トルソワ選手のプログラムに決まったと知ってまとめて見たいと思っていた。世界選手権中止で更に時間ができて最終シーズンの全6エピソードを観ることにした。

トゥトベリーゼチームのプログラムのアイデアは各々の選手の個性に合わせてどれもよく練られている。ザギトワ選手の五輪シーズンのプログラムはSP・FS共彼女のクラッシクな上品さを強調しバレリーナのような美しいボディーラインを生かした名盤だった。

トルソワ選手の「ゲーム・オブ・スローンズ」は主人公デナーリスがドラゴンに砲火させる合図「ドラカリス」の言葉終わっている。最初このプログラムになると聞いた折はどうやってテーマを創りフィギュアの演目に仕上げるのか想像がつかなかったが- 衣装はデナーリス風で確かにクワド3本~5本で攻める構成は全てを焼き尽くし破壊するドラゴンの炎ほどの威力がある。王座をめぐる争いはトルソワ選手のアスレチックで勝負好きな側面を象徴しているといえるか。

こうしてみるとトルソワ選手の個性がよく生かされている。オペラ、タンゴ、ミュージカル等ありきたりのプログラムから逸脱した斬新なコンセプトである。「ゲーム・オブ・スローンズ」を題材にできる女子選手は他にいそうもない。今季後半は不調気味だったが来季は新たな快進撃が見れることを楽しみにしている。

ドラマの方は- 奴隷を解放しドラマを通してずっと正義のヒロインだったデナーリスは最終シーズンにきて側近とドラゴン1頭を敵に殺され失意と怒りのまま権力の魔性に負けてしまい暴君化してしまう。民衆の敵と化したデナーリスは最愛のジョンに刺殺される。 

昨年グーグルの年間ヒーロ-映像に史上最大のTVドラマと言われゲーム・オブ・スローンズ」から選ばれたのはデナーリスではなく夜の王を倒したアリア・スタークだった。羽生選手も選ばれて話題になった2分のビデオである。

00:47 女優メイジー・ウイリアムズ扮するアリア・スターク
01:01 羽生選手(2019年GPスケートカナダでの3Lz)

ドラマの原作者Gマーティンの別の小説に基づくプリクエルドラマが再来年リリースされるとのこと。こちらも楽しみにしたい。

復活と続行

ザギトワ選手といえばまた競技に戻って来るようで良かった。新しいエキシビションもできモントリオール・ワールドで演じる予定もあったらしい。

もう一つの朗報は羽生選手の来季続行である。プログラムはどうなるか早くも気になる所。

社会機能がマヒしつつあるなか文化・スポーツに携わる人々の活躍は明るい希望の光となって私たちを励ましてくれる。究極の芸術作品やアスレチシズムは私たちの心に歓喜と躍動をもたらしてくれる。世代交代が早いフィギュア界においてトップ選手たちが現役を続けてくれることは本当に嬉しく有難い。

COVID19は終結の影すらまだ見えない。来季に向けアスリートや競技会への影響が最小限になるようにと願っている。

クリス・リード氏

WJCとWCの合間にディスクの整理をしようと意気込んで始めると偶然クリスのインタビューが出てきた。哉中&クリス結成から1年半ぐらい経った2016年12月、大阪での全日本に出発する直前のアイス・トークである。動画や書類の整理作業をしながら流していると- 結成までのいきさつやヘルシンキ・ワールドへの目標などを語る2人の声が爽やかに弾んでいる。

訃報を知って再度聞いてみた。誠実で優しいクリスの人柄の良さが伝わってくる。「日本のフィギュアスケートの人気はアメリカのフットボールのようだよ」「日本のファンはフィギュアをよく理解しているんだ」日本のことを良く分かっている。

五輪に3回も出場してくれたクリス--アメリカ生まれのクリスとキャシーが成人して日本の国籍を選んでくれなかったら日本の五輪団体戦参加もあり得なかったかもしれない。日本のアイスダンスもここまで発展しなかったと思う。

国籍でいえば20年間は日本人&米国人としてその後10年間は日本人として生きたことになるのか。成人したばかりの若者が日本と米国を比べて日本を選んだのは姉に続いたスケートの事だけが理由ではないだろう。世界の中の日本としてその姿を外から見ることができ日本の良さをよく理解していたに違いない。30歳で逝ってしまった-これからという時にあまりにも早すぎる。

平昌五輪での桜咲く演技は儚くも美しい。これからは日本のダンスチームを見るたびにクリスの舞を思い出すだろう。

御家族のご健康とご無事をお祈りし心よりお悔やみ申し上げたい。


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