2021-03-24

ストックホルムワールド 2 男子戦のジャッジパネルと女子SP

男子戦ジャッジと羽生選手 

男子戦のパネルは

レフリー    フランス
TC         フィンランド
TS         ラトビア
ATS        スウェーデン
ISUリザルトページ

レフリーのフランス人はジャッジとレフリーの経験が豊富。羽生選手が出場した試合にもジャッジとして何回も出ている。ざっとみた所5試合あった。

2019 さいたまワールド SPとFS
2018 平昌五輪 SP
2016 GPFマルセイユ SPとFS
2012 GPFソチ SPとFS
2011 GPS中国杯 SPとFS

TC役のフィンランド人はレフリー資格も持っているベテランである。TCとして入った羽生選手の試合は昨季のソウル4CC、2019年さいたまワールド、そして2015年のバルセロナGPF。

TSのラトビア人も平昌五輪でTS、2016年ボストンワールドでATSを務め、初のSP世界記録を出した2012年のGPSスケートアメリカでもTSだった。

羽生選手のシニア11シーズンめとなった今季こうして振返ってみるとあまたの感動が蘇る。ジャッジ席に座った人々にとっても同じく感動の10年あまりだったろう、などと思ったりしている。

13人のジャッジ国は-

オーストラリア、オーストリア、チェコ、フィンラン ド、グルジア、ドイツ、イギリス、韓国、ロシア、スウェーデン、スイス、ウクライナ、アメリカ (ISU文書:2354 Judges Draw

どの9ヵ国の誰がSPに入るのか試合開始直前(現地10:45am)の抽選で分かる。女子戦と似て男子戦も総勢17人の内韓国、オーストラリア、アメリカ以外の14人は欧州国からの選出となった。 

ジャッジのGOE&PCS と テクニカルの基礎点

2004年から採用されている現行の採点システムで高得点を出すには各エレメンツの質を磨き、試合数をこなしながらPCSの5項目をじっくりと上げてゆく- バンクーバー五輪前後からコーチ&選手陣の参戦者側に流行ってきた?と思われるコンセプトと戦略である。

オーサーコーチの下ではキム、フェルナンデス、羽生選手らは鍛錬を積み見事なフィギュアスケートの完成作品をみせてくれた。競技試合の結果も勝利の連続であった。彼らの技術・芸術レベルは非常に高くGOEもPCSも天井まで到達した。指定されている判定項目を満たしていれば満点となるのは当然である。審判する側としても良い演技を見て満点を出せるのは快感であろう。

一方GOEとPCSは政治力をかける一番のツールと化してしまったのも事実である。その結果、明らかに判定項目を満たしていなくとも不当な高得点が出てくるようになってきている。一度トップ選手が満点を出すと他の試合の他の選手にも高得点を付け易くなるジャッジ心理も想像される。いずれにしても今やGOEとPCSは形骸化しつつある。

そしてここ数年はジャッジのGOE&PCSの仕事だけではなく基礎点を判定するテクニカルパネルまでおかしくなってきているようである。これは困ったものだ。PCS項目の採点は「個人の好みはそれぞれ」というもっともらしい理由付けができるが各エレメンツ(ジャンプ・スピン・ステップ)は絶対基準で判定されることが大前提であろう。

エレメンツの技術判定に政治を反映させてしまっては技術の乱れを招く。とてもルッツとはいえないジャンプにテクニカルがエラーエッジ判定をせずそれに同調するジャッジたちがこぞってGOE高得点を出すような習慣が定着するとこれから先のコーチ&選手陣が間違ったジャンプを平気で跳ぶような方向性を創ってしまう。

GOEとPCS点獲得にロシア&エテリパワーを発揮するのは仕方ないのかもしれないがテクニカルの仕事である基礎点を決める技術内容の判定に政治力を使うのはやめた方が良いだろう。フィギュアスケートの崩壊につながるような行為はご法度である。

エッジエラーとブレードアシストというLzとFジャンプの2大問題はテクニカルが判断する以外になくその判定を抑制させるような圧力をかけるのはこのスポーツの価値を下げ衰退を助長させることになる。テクニカルパネルの審判行為だけでなく競技向上のためのルール改定に圧力をかけることも同じである。昨季一度発行したプレロテとブレードアシストの減点ルールを撤回したのはどういった経緯だったのか説明はされていない。

技術判定の誤りはコーチ&選手陣を惑わすだけでなく他の様々な問題を引き起こすことにもなる。例えば正当なクワドとして成り立っていない似非ジャンプを認定してしまうテクニカルパネルの行為が原因でシニア女子の年齢変更検討という方向違いの議論を生み出してしまっている。

ここ数年話題になっている年齢変更問題については別に書きたいと常々思っている。なかなか時間がとれないまま、そのうち決定してしまうかもしれないが- そもそも問題はクワドでも年齢でもないと考えている。 

女子SP結果 

レフリー、テクニカル、ジャッジ国を見てGOE&PCS採点合戦はロシアの孤軍奮戦と直感したのはハズレだった。米国記者ハーシュ氏が言っているロシアのサテライト国のことを忘れていた。ロシアの他、3国のジャッジがGOE&PCSの採点で紀平選手を3位としている。

そういえば審判員だけでなく元トゥートベリーゼチームに所属し今は別の国の代表として競技参加している女子選手も数人いるはずである。こうしてみるとストックホルムワールド参戦はロシア帝国にお参りに行ったようなものかもしれないと思った。

練習では調子が上がらなかった紀平選手はジャンプ全て着氷できて安心した。3Tのqは<とならずによかったが3Aのqは厳しい判定と思った。他の選手でUR気味でもコールされていないジャンプはいくつもあったと思う。

一昨季、昨季そして今季も年明け後に何回も米国に行ったり世選直前にB級試合に出たりとせわしく動いていて一体何を求めて何を得ているのか、どんなストラテジーで動いているのかよく分からない。今年もアメリカに行ってからスイスに戻った様子で安全に過ごせたかと思っていた所- 今回アメリカのジャッジがSPで1人紀平選手を1位としている。またオランダのジャッジは9人のパネル中最高点を出している。アメリカの関係者と信頼関係を持ち2年連続でチャレンジカップに出場し優勝したことが僅かでも尊重された結果なのかと想像している。

ジャッジデータと分析は個人のブログによっている。9人のジャッジが出すGOEとPCSの膨大なデータベースを持ち精緻な分析をされている貴重なブログである。

ブログリンク:2021 World Championships Ladies Short Program TSS Rankings


この試合の偏向採点の度合いは支離滅裂だった-

3Tの着氷が乱れただけの坂本選手のPCS34.24はコンボジャンプが抜けたトルソワ選手の34.48より低かった。トクタミシェワ選手もトルソワ選手より低い34.47。

シェルバコワ選手の81点はあり得ない。3Fと3Lzのエッジコールが出ずGOEも異常に高い。また先月のチーム戦から気になっているのは- コンボジャンプでLzの着氷からLoへ左足を引きずっている。Lz、Fに加えてセカンドLoの変異種まで出てきてしまった。3Lz+3Loの美形は五輪シーズンのザギトワ選手の演技で見ることができる。

SS9.29もあり得ない。滑りながらポンポンと跳んでいるのはエッジが長く持たない、たもつことができないからであろう。ポンと跳んでスケーティングの伸びをカモフラージュするように振付けられている。ウサチェワ、メドベージェワ選手も似た様な滑りでブレードを押すのではなくフリーレッグを振り子のように振る事で勢いをつけている。3人とも体重移動とブレードコントロールは上手くスピードはある。足元をずっと見ていれば分かるが滑っている足よりもフリーレッグの方が動きが大きく仕事をたくさんしている。メドベージェワ選手もそうだがあの足の細さでは氷を押し切れないのだろうと想像している。コストルナヤ選手、日本やカナダの選手の滑りを見れば違いは一目瞭然。今回最高評価を出してしまい今後は9.5前後にずっと留まるのであろう。メドベージェワ選手のインサイドエッジのLzに毎試合GOE満点近くを出し続けていたのと同様の採点行為が続くと予想される。

LzとFのエッジ問題及びコンボジャンプの左足引きずりの減点とPCSの減少でシェルバコワ選手のSPは高くても72から73点位が妥当で順位としてはキム、坂本選手の前後ぐらいか。

宮原選手は怪我でもあったのかと心配してしまった。FSトスカを楽しみにしている。

トルソワ選手も残念だった。FSは思い切って臨めるようにと思う。プルシェンコ氏も腕の見せ所である。是非最後まであきらめずに頑張れるようにと思う。


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ご訪問ありがとうございます。

皆さま引き続き安全・健康に過ごされますように。




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