2023-01-05

22-23シーズン前半のあれこれ2

ケオリ ブランド

フィギュア選手はバレエ、ジャズなどダンスを習っていて皆所作が美しい。

米国の解説では「つま先まで足を綺麗に伸ばしている」とスパイラルへのコメントがよく聞かれる。

クラッシクバレエのフォームに基づいてコメントしているのは分かるが米国フィギュア界では頻繁に出てくる言葉で、聞く度にバレエの伝統をフィギュアに必要以上に押し付けることはないと思わせる。フィギュアなのだからスパイラルのスピードとか、エッジの深さや安定度とか、描く円弧の美しさとか他の側面のコメントが出ないかと思うがこれまで聞いた記憶はない。つま先が伸びている方が伸びていないより良いのだろうが2次的な側面をこれ程強調する背景は何だろう。

伝統があるバレエ団や世界最高峰のダンサーによる公演は確かに芸術を極めるものではある。しかし地上で演じられるパフォーミングアートにはバレエだけではなく他にも多くの分野がある。

エッジに乗り氷上で疾速しながら演技するという特殊な表現方法をとれるフィギュアにクラッシクバレエのみの方術を求め批評を当てはめるのは文化イベントのコメントとしてあまりに狭義に過ぎる感。

上半身の美しさを言うならまだ良いがよりにもよって足先の甲が伸びているかどうかにこだわるのは欧州に歴史ある文化の伝統を求める米国のメンタリティから来ているのかと思ったりする。バレエの動きを所作の究極と見なし目指すべき到達点として指導をする傾向の教授陣のスノビッシュさまで想像してしまう。

前置きが長くなったが- 太陽のように明るい我らが坂本花織選手の演技はそんな限定的なクラシック型にはまったくハマらない。自由で朗々としたスピリットが表現されている。

チーム・カオリのプログラム創作は優雅さ・美しさを女子スケーターに求めるような既成観念から出発していないようだ。坂本選手は常にインかアウトどちらかのエッジに乗っていて、クッキー型から出たような演技の代わりにスケートでしか味わえないスピード感とダイナミックな動きを見せてくれる。これはバレエにはない、できない要素。フィギュアスケートの振付けはバレエの部分集合ではないのだ。

勿論クラシックバレエ調のプログラムで歴史に残るものもたくさんある。平昌五輪チャンピオンのSP・FSはどちらもチュチュの衣装で肢体の美しさを生かした華麗な振付けだった。

要は- フィギュアのプログラムは様々なジャンルの振付けが可能ゆえ面白いのだと思う。

マリー=フランス氏、リショー氏らの振付けが坂本選手の力をよく引き出していて、このパワフルなカオリ調は平昌五輪以降シーズンごとにジワジワと世界に浸透してきた。他には見られないタイプの選手がこの4年間ジャッジと観客を魅了してきた。

今季の坂本選手には貫禄を感じる。いよいよブランドが確立した感触である。カオリ・ブランド、欧米調に言えばケオリ・ブランド。機会があれば現地観戦であのスピードスケーティングとジャンボジャンプを見たいと思っている。

ヘンドリックス選手

2年前のブダペスト杯で優勝して以来観るたびに良くなっている印象。コロナ期の鍛錬を経て上昇してきた。

今季のFSは大柄に見える彼女の存在感をより大きくみせている。こちらも貫禄たっぷり。イタリアのコストナー選手のような体形で息の長い選手になりそう。

スケーティングとジャンプは坂本選手の方が上手い- とひいき目に思ってはいるがジャッジ群団の採点はヘンドリックス選手をかなり推していることが分かる。

GPS6戦目のフィンランド杯は欧州選手権のリハーサルだったはず。きっとエスポーでタイトルを取り、さいたまワールドにやってくる。日本の選手との競技がどう展開するか楽しみだ。


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ご訪問くださり応援くださりいつも本当に有難うございます。

新年のご多幸とご健康をお祈りしています。

御家族共々2023年が最高の年となりますようお祈りしています。

Wishing you a very happy and healthy New Year !
Bonne Année !




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