2021-05-27

五月の雑感あれこれ3 島の国

北京五輪女子戦のレフリー、TC、TS、ATS

ストックホルムワールドの女子戦で坂本、紀平選手が6位と7位だったことで北京五輪へ決まった事が2点ある。一つは出場3枠を確保したこと。もう一つは-

北京五輪のレフリーとテクニカルパネル(TC、TS、ATS)の4席の一つに日本が任命される可能性がでてきた事である。

以前紹介した通り19-20シーズン初めに追加された規定(ISU文書:2265)でレフリーとテックパネルに任命されるのは五輪前年の世界選手権で1-5位に入賞した選手国以外となる。

つまり- ロシア(ストックホルムワールド1~3位)アメリカ(4位)ベルギー(5位)からは北京五輪の女子戦のレフリーとテクニカルパネルには任命されないことになる。5位以内に日本が1人も入らなかったのは予想外だったがその結果4役の一つに日本が入る可能性がゼロではなくなった。

レフリーとテクニカルパネルは副会長、スポーツディレクター、テクニカル委員会の推薦をもとにISU会長の名で任命をすることになっている(ISU一般規定)。何回か触れてきた通り任命されるのは国であり少なくとも手続き上は特定の人物を指名することはないはずである。

彼らが4席のどれかに日本を推薦するだろうか。露や米と違い日本のジャッジは国際試合で自国選手を優遇することはほとんどない。むしろ自国選手を低く採点し強国の選手を優遇することが過去の実績からよく知られている。

ロシア人の副会長の一番の懸念はテクニカルパネルによるロシア選手のエッジ判定だろう。北京五輪出場の可能性がある選手の中でPR、UR、エラーエッジ、フルブレードの度合いが一番大きいシェルバコワ選手のジャンプ判定ノーコールがストックホルムワールドで容認された。WTTでも判定が定着しシェルバコワ選手が大丈夫ならば他の選手も安泰かとも思われる。

もしくは2019GPFの男子戦TCに日本を任命し成功したようにISUの意向が反映されやすいと判断すればTCに日本を推薦するのだろうか。

2265の規定には前年世界選手権の1-5位に加えて五輪で1-5位に入ると予想される国も除くとある。五輪の順位を何に基づいて予測するのだろう。ISUの文書らしい曖昧な定義とルールである。

平昌五輪はこの規定が発行される前だった訳だが女子戦のレフリーはスイス人でTCはオーストラリア人だった。どちらもISUの役員に名を連ねている人物。やはり日本は入らない方がテクニカルパネルの判定に偏りがなく良い気がしている。

北京五輪のオフィシャルズの任命・抽選日程は- ISUの一般規定によれば北京五輪のレフリーとテクニカルパネルの任命は8月15日までに行われる。GOE&PCSを採点するジャッジ役の13ヵ国はシーズン初めおそらく9月頃に抽選で決まる。

ジャッジ13国の抽選結果はISU文書で発表されるがレフリーとテクニカルパネルにどの国が選ばれたかは五輪が始まるまでに正式発表はなく一般人には分からない。

17-18シーズンはGP中国杯とアメリカ杯でそれぞれ平昌五輪の男子戦と女子戦の同じ3人組がテクニカルパネルに入っていた。後から考えれば五輪のシミュレーションだったかと推測したものだった。ペア戦ではGPFのテックパネル3人が平昌五輪と同じ3人だった。

来季も似た様な方途をとるのかもしれない。

平昌五輪 リザルトページ
2017年GP中国杯 男子戦ジャッジパネルページ
2017年GPアメリカ杯 女子戦ジャッジパネルページ
2017年GPF ペア戦ジャッジパネルページ

スター誕生

1月アメリカの大統領就任式を見ていると国歌斉唱をしたのはレディー・ガガだった。アート創作以外に社会活動もしているガガである。最近何か話題があったのか-?

そういえばアカデミー賞にノミネートされていたと思い出し調べると- 2019年ブラッドリー・クーパーとの共演の「A Star is Born」で主題歌の受賞だけでなく主演女優賞にもノミネートされていた。

今月になってやっと映画を見た。サクセスストーリー、ラブストーリー、依存症とメンタルの病などが描かれたアメリカらしい内容である。2人の好演も良かったが印象に残ったのはクーパー氏の歌唱力。俳優が本業の氏の歌声を聞いたのは初めてである。

クーパーが演じるのはロックスター。ロックというよりアメリカン・カントリー。ガガと共に演技と音楽を通して描かれる青春の苦悩は悲しい結末を迎え最後はガガの朗々とした歌声で終わる。

オスカー受賞式でも2人でデュエットしている。ガガのオフィシャルチャンネルにはアクセスが4億4千万回を超えたビデオが出ている。

ビデオ:2019年アカデミー賞授賞式でのガガとクーパー

邦題は「アリー/スター誕生」。この主題歌「シャロウ」とそのアルバムはグラミー賞も複数受賞している。フィギュアではトクタミシェワ選手が昨季と今季EXで滑っていた。

島の国

米国の新大統領といえば先月日本の首相がいち早くワシントンDCを訪問し会見した。各国の国家元首たちはパンデミック下の内政に大わらわなはずで急ぐ用事は何かと思っていた。ニュース記事を見て日本の一番乗り病を思い出した。前首相は前大統領の就任前に会った。国のヘッドが当選直後の一般人を訪ねて東京からニューヨークへ飛んだのだった。

共同声明にも特に緊急を要する内容は見られない。日程がWTTと重なっていたので全て終わってからのニュース追いとなり共同会見の動画まで見てしまった- 期待はなかったがそこでも緊急性を示すことは何もなかった。

むしろ見て取れたのは- 日本から来たのだろう記者か官僚と思われるスーツ姿がゾロゾロと集団行動をとる奇妙さ。日本にも首相にも訪米にもほとんど興味がないことが伺われた現地記者と思われるAP通信とロイター通信の2人の質問。唯一ロイターが五輪開催について質問を振ってくれたが通じなかったのか完全に無視したのか回答はなし。日本から願っただろうことは明らかでも招待されたと強調する言葉の空しさ。

日本代表の国際舞台での姿は相変わらずと分かった。アメリカが世界で最初に日本に来てほしいと懇請したと信じている人は世界にどれ程いるのだろう。受け入れ側は一国の代表に対してまさか敬意を欠くようなことはせず始終フレンドリーな調子で一番乗り行事に付き合ってくれている。

この4年毎?の伝統のお参り行為をやめる首相が将来出たらその人物は本物の島国ジャパンの良きリーダーであろう。

国のヘッドがあの様相では- 小さな世界である日本のフィギュア界のキーを握っている人々が欧米文化と欧米人に従順で自国人を尊重できない風潮に陥るのもムリはないだろう等と考え及んだりもした。今に始まったことではなくおそらく終戦頃からずっと引きずっているのであろうこの典型的な日本人のメンタリティは長年語られてきたことでもあり論じればキリがない。

今では国際社会で貢献・協調できる方途と分野も随分広がり活躍している日本出身の人々はたくさんいる。一方では旧態依然とした風習が抜けず最後まで取り残された世界もあり閉鎖的なフィギュア界もその一つなのだろう。

現況で北京五輪はどうなるか分からない。パンデミックの事だけでなく中国の国際関係事情などもある。大方は東京五輪開催が成功すればそれに追従するのかと想像している。各国のワクチン対応状況なども様々でアスリートにとっては不安や心配が尽きない状態が続きそうである。開催される場合は東京と北京どちらも安全第一で参戦者と関係者が守られるようにと思う。

公衆衛生レベルの高さにかけては日本は世界有数の国。独特な日本社会の文化・習慣に育まれた日本人の感情豊かでキメ細かい長所が生かされる様なシステムで万全の管理と運営を願っている。


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ご訪問ありがとうございます。

皆さま呉々もご健康に留意されますように。




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