2022-02-02

五輪前の雑感あれこれ3 ロシア&全米選手権と欧州選手権とナダル

イリアとネイサン

五輪シーズンの今季、Chopin2020、テニスGS2戦、世界体操選手権など恒例の行事などでスクリーンに張り付いていても全部は見きれず、ジュニアGPSは最初からパスする予定で始まった。

かくしてイリア・マリニン選手を見るのは全米選手権が初めてとなった。

これは逸材が出てきたと思い先週やっと今季のJGPS2試合とシニア参戦の11月のオーストリア杯の演技を観た。JGPS2戦とも優勝しオーストリア杯は3位だったが214.64、245.35、222.55と、とても全米選手権の快挙を想像できるような演技ではなかった。

オーストリア杯から2ヶ月であそこまで仕上げるとは17才の進捗が著しい。そういえば河辺選手も17才だった。

五輪代表はマリニン、チェン、ゾウの3人を期待していた。

ネイサン・チェン選手は明らかに不調だった。基礎点、GOE、PCSを正確に採点したならマリニンが1位でチェンは2位。で、本来の議論は「マリニンかゾウか」「マリニンかブラウンか」ではなく「ゾウかブラウンか」だったのではと思っている。

マリニン選手が全米選手権後にインスタに上げているのは:

4T+4T
4T+1Eu+4S
4T+4Lo

インタビューでは「ルッツ+トゥ」もやってみたいと言っていた。意味したのは当然3Lz+3Tではなく4Lz+3Tでもなく4Lz+4Tである。

高難度ジャンプ挑戦に対するルール上健康上の疑問や懸念が一つづつ解決されてゆく道のりは長そうではある。一方いよいよ新世代が出てきた感で停滞しがちなフィギュアスケートの発展と採点習慣には明るいニュースと思った。

アルトニアンコーチは「イリアはネイサンの脅威にはならない」と言っていたがこれを翻訳すると「イリアはネイサンの大脅威である」となる(笑)。ジャンプの離氷も着氷もチェン選手よりずっと良い。入りも出もステップを入れている。

ジャンプをスイスイ跳べているのはエッジ使いが上手いこともあると思う。スピードとタイミングでキレイに跳んでいる。ステップやスピン等これからのノビしろもたっぷりある。やっと全米の男子戦を観る楽しみができた。

リーザとアンナ in ロシア選手権

マトモに採点すれば7位だったのはシェルバコワ選手でトクタミシェワ選手は6位だったろう。サンボの選手が圧倒的に優遇されるので結果は最初から分かっていたようなものである。

PCS全般とスピン&ステップのGOEが不当に上げられてきたトクタミシェワ選手とルッツでもフリップでもないジャンプを跳ぶシェルバコワ選手のどちらが良いか- 心情としては特にどちらにも思い入れはなく、どちらが五輪に行っても良いと思っていた。

観戦初心者の頃だった大昔なら上半身の動きが綺麗なシェルバコワ選手を良いと思ったかもしれない。今はあのジャンプとスケーティングをまた見なければならないのかと思うこともあり上半身の所作も鳩胸ポーズが鼻についてきたりしている。

足元を見ていればジャンプだけならトクタミシェワ選手の正確なLzは観戦者を安心させる。一方、トランジションが詰まっている他の選手の滑りからするとシンプルな動きでフィギュアの旨みがあまりない感。

いずれにしても採点が真っ当ならばシェルバコワ選手は200から205点、トクタミシェワ選手は215点前後だったと思う。

ワリエワ選手のPCS in 欧州選手権

ワリエワ選手のSP世界記録90.45のPCSは38.72だった。

手元の記録によれば平昌五輪で女子史上初の38点台を記録したメドベージェワ選手以来初めての38点越えでしかも新記録である。

2018五輪団体戦SP 38.23 メドベージェワ
2018五輪個人戦SP 38.42 メドベージェワ
2022欧州選手権SP 38.72 ワリエワ

FSのPCSは未だ記録更新されていない。

2017WTT FS 78.06 メドベージェワ

女子で78点台が出たのはこの時1回だけ。次点はメドベージェワ選手の2018平昌五輪での77.47である。

ロシア選手権ではワリエワ選手に79.20が出ていた。欧州選手権でノーミスであればこちらも記録を更新していただろう。

因みに技術点TES(基礎点+GOE)は各選手の個人ベスト記録をISUで掲載しているがPCSの記録リストはない。技術偏重の傾向はこんな所にも表れている?

ナダル vs メドベージェフ

今年の豪州オープンではブル、ナダル選手らしい試合ぶりをみせてくれた。

決勝戦は:

スペイン vs ロシア
35才 vs 25才
ケガ&手術後 vs USオープンチャンピオン
引退間近のランキング5位 vs 上昇中のランキング2位

であり、どう見てもナダル選手の勝算は低かったが- 試合展開は5時間半近くとなった観戦を全く飽きさせなかった。最初の2セットを取られても5セットまで粘るナダル選手の強さはメドベージェフ選手の巧みさを破った。最後はACE1本と相手のミス3本でストレートで4ポイントを取った。

強さ vs 上手さ

経験とメンタルの強さが巧みさを圧倒する試合、強いアスリートが勝つ事を見れるのはスポーツ観戦の最高の楽しみである。テーピングだらけの指とまるで足かと思わせるような筋肉のつき方をしている左腕を突き上げて勝利を喜ぶナダルの姿にスポーツの真の歓喜を感じた。

余談- 

5時間もオーストラリア英語の解説を聞いていて平昌五輪男子戦の解説を思い出した。五輪オフィシャルチャンネルのフィギュア解説に採用?されたのはNBCでもCBCでもなくオーストラリア解説でフィギュア専門家の女性と一般解説役の男性のコンビだった。羽生選手の演技を「Liquid Gold」(流れる金のような滑り)と称した解説陣である。

気のせいかオーストラリア・オープンの解説の1人はあの時の男性解説者のように聞こえた。渾身のナダルの勝利を報道した後北京五輪の解説に入るのかと勝手に想像している。

サイバーセキュリティ in 北京

いよいよ五輪が始まる。いまや選手のバゲージの写真までネットで見れる時代になって何かと話題は尽きない。

ニュースになっていないだけの事かもしれないが- 日本の選手団が携帯電話などの持参について注意や支援を受けているのか気になっている。

アメリカかオーストラリアのニュースだったか- 個人の携帯を持ってゆかないよう注意喚起、またその支援としてプリペイド携帯を支給、という記事を見た。中国に持ってゆき使えば内容を全て取られるだけでなくそのデバイスがウイルス感染し母国へ帰国後拡散されるという事で中国へ渡航・駐在する際にはプリペイドを場合によっては複数台持ってゆくことが常識となっているらしい。

選手、関係者とも心身共に健康でコロナウイルスからもサイバーウイルスからも守られ存分に力を発揮できるように祈っている。


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ご訪問くださりありがとうございます。
季節柄皆さまどうかご健康で安全に過ごされますように。




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