栄光と自由 Слава і Свобода
NYメトロポリタンオペラはパンデミック中24時間動画の無料配信をやってくれた。1年ほどで終了しその後は音声のみのライブネット配信を月に数回やっている。
先月末キッチンで作業しながらシーズン初演のドン・カルロをタブレットで聞き始めるとGMのゲルブ氏が檀上に出てきた様子。
これはウクライナへのエールがあるなと思っていると- 最後の黙祷の後少し間があきコーラスが始まった。あら?今日はベルディのドン・カルロじゃなかった?
YT:2022-02-28 Ukraine's Anthem by Met orchestra and chorus
予告なしに始まった演奏に会場の観客はすぐ気付き立ち上がっている。舞台中央で楽譜なしで歌っている青年はこの日メットデビューとなったウクライナ人のバリトン歌手ブイアルスキー。
今や世界中で演奏され歌われているこの国歌の歌詞に彼らの熱い血潮、気高さと誇りを感じる。
あまたのビデオが上がっている。
こちらは欧州各地のフィルハーモニーによる演奏が合成されている。観客だけでなくオーケストラも起立して演奏している所もある。
YT:Europe stands with Ukraine
ボストン青年オーケストラにはアメリカらしく様々な人種が集まっている。
YT:2022-02-28 Boston Philharmonic Youth Orchestra
カナダのアイスホッケー試合のオープニングでの男性合唱。ウクライナ国歌に続いてカナダ国歌が歌われている。
YT:2022-03-01 Jets vs. Habs game opening
角野隼斗氏も東京タワーでのライブコンサートで繊細でピュアなサウンドを奏でている。
YT:2022-03-10 Live at Tokyo Tower (23:30に頭出し)
地球上のあらゆる所で響いているウクライナ国歌。逞しい勇気と希望に溢れていてウクライナの人々だけでなく戦争に憂慮する世界中の人々の心を打つ。
幸福と平和への希望を持ち続けてゆきたいと思う。
文化&スポーツの役割
NYメトロポリタンオペラは社会問題には敏感に反応し即座に手を打つ。常任指揮者レビンやオペラ歌手ドミンゴのハラスメントの折も随分過去の件であっても発覚後すぐに明確な指針を出している。当然契約も解消している。
今回はウクライナ侵攻が始まってから数日の内に「露大統領を支持をしていたりその支援を受けているアーチストや団体とは関係を続けられない」と発表。明解かつ簡潔。
これを受けて以前記事で触れたソプラノ歌手のネトレプコは今季と来季の公演から降板となった。予定されていたトゥーランドット役にはウクライナ人のソプラノを採用。
芸術に国境はない、政治と文化は切り離すべき、といった声が内外から出ているのはスポーツ界と同じ。殆ど説得力がないのも同じである。
14日にはウクライナのためのコンサートが行われた。21日までオーディオ配信を聞ける。
NYメット:2022-03-14 Concert for Ukraine
「今宵私たちは音楽の兵士。ウクライナの自由と民主主義を守るために芸術の力をふるう」
冒頭の挨拶に立ったゲルブ氏の言葉が文化芸術が本来果たすことができる役割を象徴的に表している。
これ程まで究極に達したアートの力を育んでいるニューヨークのコミュニティを称賛したい。さすが文化力一級の街だ。
栄光と自由 Слава и Свобода
ロシアの国名、国旗、国歌がスポーツの国際大会で禁じられたのはドーピングゆえだった。今回の他国への軍事侵攻により遂に殆どの競技で出場も禁じられてしまった。自ら選択した行為によって真の栄光と魂の自由をどんどん失い枷をかけられてゆく様子を見るのは心苦しい。
五輪の表彰式ではチャイコフスキーのピアノ協奏曲が使われていた。
武力行使をする今のロシアの姿を見たらチャイコフスキーはどう思うだろう。ラフマニノフ、プロコフィエフ、ハチャトゥリアンは?
トルストイ、ドストエフスキー、プーシキン、ツルゲーネフ等文豪たちは何と言うだろう?
豊穣な土壌を持つ文化大国の名に恥じないよう、チャイコフスキーが生きていたら曲の使用を禁じるような事にはならないよう、ロシアらしい真の心の強さが蘇生するように祈っている。
キリル文字
敬意を表してウクライナ語とロシア語をキリル文字で記してみた。
Ще не вмерла Україна ウクライナは滅びず(国歌のタイトル)
Слава і Свобода 栄光と自由(ウクライナ語)
Слава и Свобода 栄光と自由(ロシア語)
Щастя і Миру 幸福と平和(ウクライナ語)
Счастье и Мир 幸福と平和(ロシア語)
グーグル翻訳に大感謝!!
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ご訪問くださり有難うございます。
皆さまお元気で安全に過ごされますように。
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