2020-07-10

2019/20 Season in Review 2 セーフスポーツとクリーンスポーツ

セーフスポーツとクリーンスポーツ

ここ数年スポーツ界で女性や未成年者の蔑視や虐待などの人権問題が表面化してきている。フィギュアスケートも例外ではなく昨季は米連盟や仏連盟が揺らいだシーズンとなった。

米国では体操界の問題噴出に伴い国会で法案が可決されセーフスポーツと概念を打ち出し数年前に組織(USセーフスポーツセンター)を立ち上げている。フィギュアスケート界でも元全米チャンピオン、元五輪チャンピオンのコーチ、連盟役員などがセーフスポーツ又は法廷を通して訴えられている様子。フランスの連盟の会長は隠蔽行為を問われ辞任をした。アメリカ拠点のフランスのペアのコーチの隠蔽行為は調査中。日本では世界のトップレベルの選手を複数育てているコーチがハラスメントで提訴されている。

問題の表面化と組織的対処はここ数年動きが出てきた訳ではあるが、問題そのものは決して最近起こってきた訳ではなく恐ろしいことに長年に渡り習慣化したと言えるほど底辺に流れ続いてきたことらしい。そこには勝負の世界独特の力関係が存在している。特に競技で良い成績をおさめる事を全ての中心としてしまい、そのためには誰でもどんな事でも犠牲にしてよい何を言ってもやってもよいという傲慢さが潜み力関係、上下関係の基底となってしまっているのだろう。加害者と被害者は必ずしも競技大会で上位成績を収めた人物とは限らずメディアの注目を集めない層でも人知れず横行しているのだろう。

クリーンスポーツ、いわゆる薬物使用に関しては20年ほど前に規定と国際組織(WADA)が樹立されている。こちらも問題提起からWADA成立までは数十年かかったようだ。

今の所、人権保護についてはIOCなどスポーツ組織の各々の条文の一節などで僅かに言及されてはいるがドーピング問題ほどつまびらかではないようだ。時間がかかるかもしれないがセーフスポーツもクリーンスポーツと同様にスポーツ界で謳い促進すべき明確な標語となり細かな規定や組織設定の必要性もいずれは国際的に認識されるレベルまでゆくのかもしれない。

フィギュア界のリーダー

2020年が明け世界がパンデミックに覆われて以後、名立たるフィギュア関係者の奇行、愚行が目についた。先般の現役女子選手の自粛期間中の来日と桜満開下での奇妙なダンス公開、元五輪金メダリストやその家族による脅しとともとれる内容の公言や差別・抑圧の公言と続いた。先週は五輪や国際試合の解説を数年務めてきた解説者コンビが低俗な内容を公言。やはり現役時代はトップスケーターとして活躍した2人である。彼らの人間性は一体どこへ行ってしまったのだろう。

ハメをはずしたくなったり人に意見したくなったりすることは人間誰でもあるがモラルを逸したり下賤な内容を内輪ではなく平気で公に発信してしまうのは人気やお金がある故か。メディアを通じて多くのフォロワーを持っていると自身の言動はいつでもどのような内容でも世界中で容認・支援されウケると錯覚してしまうのかもしれない。小さな画面に向かって思いつくままをはき出し続けているうちに次第に言う事もやる事も人間としておかしくなってしまったのだろうか。

どの世界でも良い成績を収めた人物がお金と地位や名誉に溺れて人を見下すような行為に出たり狂乱の姿を見せることは珍しくない。高慢さや愚かさがその本質であり人権問題の根底の原因と同じように見える。本来フィギュア界の模範として内外から注目される立場に居ながら自ら滑稽な姿を見せている様子は大変残念だ。リーダー的存在の人々が人権問題に抵触するようなことをやっていては、いくら条令を整え枠組みを作っても蔑視・虐待の問題はいつまでも根絶できないだろう。

今はフィギュアスケートがワールドスポーツとして確立・定着しつつある未曽有の時であり、競技ルールや大会運営の整備だけでなく関係者らの人間としての行動が大事でスポーツの発展に大きく影響するのではないかと思う。


2019/20 Season in Review 記事

1 スポーツの多国籍化とアスリートの移籍

2 セーフスポーツとクリーンスポーツ

3 女子の技術躍進

4 シーズン記録

 ファンとメディア

6 採点ルールなど20/21への引継ぎ


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ご訪問ありがとうございます。

皆さま十分気を付けられて安全に健康で過ごされますように。






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